コロナのど真ん中にいる中で「神はわたしたちの避けどころ」と告白する
ペストのど真ん中にいたルター
14世紀の中頃、アジアからヨーロッパ全土を襲ったペスト(黒死病)は、ヨーロッパの全人口の4分の1から3分の1を死に至らしめました。
その後も散発的に流行を繰り返したペストは、1527年の夏、ペストのど真ん中のドイツのヴィッテンベルクの町で暮らしていたマルティン・ルターにも襲いかかりました。
この頃、ルターの家族では息子が重い病を克服しましたが、娘をペストにより失い、また彼自身、死を覚悟したほどの病と鬱状態になりました。さらに彼を通してプロテスタントに改宗した牧師が悲惨な死を迎え、ルターは悲哀と絶望の中にいました。
この時、ルターは「私は死と陰府の門におり、キリストは見失われ、自暴自棄と神への冒涜にゆすぶられていた」と後に述懐しています。
「神はわたしたちの避けどころ」
そのような正に生き地獄のような苦しい状況の中で、ルターは詩編46編によって力づけられ、常に共におられて、助け手、避けどころである唯一なる神様を見出したのでした。
力を与えられたルターは1528年に有名な讃美歌「神はわがやぐら」を詩編46編に基づいて、作詞作曲しました。
ルターが最も影響を受けた詩編46編の主な箇所は、「神はわたしたちの避けどころ、わたしたちの砦。苦難のとき、必ずそこにいまして助けてくださる。わたしたちは決して恐れない。夜明けとともに、神は助けをお与えになる。万軍の主はわたしたちと共にいます。ヤコブの神はわたしたちの砦の塔。万軍の主はわたしたちと共にいます。ヤコブの神はわたしたちの砦の塔」(46:2,3,6,8)です。
讃美歌「神はわがやぐら」
ルターの作詞した「神はわがやぐら」の歌詞は以下のようになっています。
1 神はわがやぐら わが強き盾 苦しめるときの 近き助けぞ
おのが力 おのが知恵を 頼みとせる 陰府の長も など恐るべき
2 いかに強くとも いかでか頼まん やがては朽つべき 人の力も
われとともに 戦いたもう み子イエスこそ 世を治むる 大いなる神
3 悪は世に満ちて 攻め囲むとも 神の み言葉は 進みに進まん
わが命も わが宝も 取らば取りね 神の国は なお われにあり
このルターの讃美歌は日本聖公会聖歌「453番」でも用いられています。
コロナのど真ん中にいる私たち
ペストのど真ん中にいたルターのように、私たちもコロナのど真ん中に生きています。
この時こそ、私たちもルターのように神様を「わがやぐら」「避けどころ」とし、「苦難のとき、必ずそこにいまして助けてくださる」神様に頼り、「あなたはわたしの寄りどころ、わたしの命のすべて」(『日本聖公会祈祷書詩編142:5』)、また「神こそ、わたしの岩、わたしの救い、砦の塔。わたしは決して動揺しない」(詩編62:3)という信仰告白をしたいものです。
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