『神によりて やすし』「わたしの平和(平安)を与える」
ホレーショ・ゲーツ・スパフォード
1800年代に弁護士兼投資家、大学教授、神学校理事であり、また教会の長老派でもあったホレーショ・ゲーツ・スパフォードという信徒がいました。彼は頭脳明晰、人徳にも優れ、信仰も篤い人で、仕事も順調な上、結婚した妻との間に5人の子供がいて、順風満帆の毎日を送っていました。
幸せの絶頂にあった彼でしたが、しかし、4歳の息子を高熱によって突然亡くし、息子の死から約1年後、シカゴを襲った大火事により、所有していた土地や財産の多くを失うことになりました。
大火事から約2年後、スパフォードは家族を英国への休暇に連れて行く計画を立て、彼は仕事が多忙のため、家族を先に休暇へと旅立たせ、後から合流することにしました。
しかし、家族を乗せた船はスコットランド籍快走帆船と衝突し、12分と経たない内に沈没してしまいました。
この事故で4人の娘たちを失い、助かったのは妻のアナだけで、逝去の知らせを受けた彼は、妻の元へ向かうため船に乗り込みました。
この時、彼は想像を絶する悲しみの中で、神への信仰を失ってもおかしくない試練の中にあったのですが、しかし、神への信仰によって与えられる心の「平和」を感じていたのです。
聖歌465番『神によりて やすし』
この時スパフォードは、以下のような聖歌(讃美歌)の歌詞を書き上げました。
1.しずけき川の岸辺を 過ぎゆくときにも
憂き悩みの荒海を 渡りゆくおりにも
(おりかえし)心 やすし 神によりて やすし
2 群がる仇はたけりて 囲めど攻むれど
試むる者荒びて のぞみを砕くとも
(おりかえし)心 やすし 神によりて やすし
3 うれしや十字架の上に わが罪は死にき
思いにくず折れし身も 主をたたえ歌わば
(おりかえし)心 やすし 神によりて やすし
4 大空はまき去られて 地は崩るるとき
罪の子らはさわぐとも 神によるみ民は
(おりかえし)心 やすし 神によりて やすし
この歌詞は「平安」とはほど遠い状況の中でも神様の救いがあり、またいかなる困難や苦難においても、神様が「平安」を与えてくださるという信仰告白と言えるでしょう。
「わたしの平和(平安)を与える」
聖書において、イエス様は「わたしは、平和をあなたがたに残し、わたしの平和を与える。わたしはこれを、世が与えるように与えるのではない」(ヨハネ14:27)と語られています。(新改訳では「わたしは、あなたがたに平安を残します。わたしは、あなたがたにわたしの平安を与えます。わたしがあなたがたに与えるのは、世が与えるのとは違います」)。
イエス様の「平和」「平安」は、「世が与える」「平和」「平安」ではなく、「試練」や「想像を絶する悲しみの中」でも、神様から与えられる「安らぎ」「心の満たし」であることを覚え、私たちはイエス様に頼り、神様からの「安らぎ」「心の満たし」を頂きたいものです。
コメント
コメントを投稿