感謝する先にあるもの

        「ありがとう」を唱えることの絶大な効果

 

鈴木秀子シスターの知り合いの女性は会社を立ち上げ、大成功を収めていました。その会社にイタリアの青年が入社し、よく働いてくれたことで彼女は喜んでいましたが、しかし、彼に会社を乗っ取られてしまい、すべてを失ってしまうことになりました。


彼女は怒り心頭で、もう憤懣(ふんまん)やるかたなく、山の中で暮らすお坊さんのところへ訴えに行き、そのお坊さんから「ああ、そりゃおめでとう。感謝だね。ありがとうと言いなさい」と助言されたそうです。彼女は『何を言ってるんだ』と思いながらもほかに気持ちを収める(すべ)もなく、それでお寺から帰る道すがら、「ありがとう、ありがとう」と怒りながら言い続けていたそうです。


その後も彼女は何かをしていないと発狂しそうになり、朝から晩まで「ありがとう」を言い続けていたところ、ある日、町でバッタリと彼とばったり、会いましたが、あやうく逃げられてしまいました。そこで彼女はますます怒りに拍車がかかって、怒りを発散するために「ありがとう、ありがとう」と言うのが、すっかり癖になってしまい、気づいたら彼の顔を思い浮かべても何とも思わなくなっていたと言うのです。


彼女は「あれ?彼のことを思っても怒りが消えちゃったな」と思った途端に、ドアが開いて、彼が来て、自分の家の玄関で土下座して謝って、「全部、会社を返します」と言って、帰っていたという驚くべき結末が待っていたのでした。

 

感謝する先にあるもの

 

ゴスペルシンガーで活動しているクリスチャンの()()さんという女性がいます。


彼女は2003年の夏に母親と一緒にアメリカのロッキー山脈にあるデンバーに行き、1週間の旅を満喫(まんきつ)しました。


彼女は最高の旅であったことに感謝しようと母親に提案すると快諾してくれ、そこで母親がベッドに腰をかけて座ろうとすると、ベッドの掛布団(かけぶとん)がずれていて、勢いよく床に叩きつけられました。


すぐさま、母親はデンバーの病院でコルセットと薬で応急処置した後、日本へ帰り、すぐに自宅の近くの病院に入院し、診断してもらった結果、第1腰椎(ようつい)が骨折していることがわかりました。


祐理さんは飛行機のチケット代、アメリカでの3(けた)に上る莫大な医療費の心配、母親の看病、日本までの長い道のりに疲労困憊(こんぱい)となっていまい、帰国後、時差ぼけがある中で、自宅でお茶を飲もうとした時、誤って熱湯を自分の手にかけてやけどをしてしまいました。


彼女はベッドに腰をかけて、横を見た時に聖書が開かれていて、テサロニケの信徒への手紙の「すべての事について、感謝しなさい。…」(新改訳)というみ言葉が目に入りました。


彼女は感情が高ぶり、「神様、せっかくのアメリカ旅行だったのに、お母さんは腰の骨折ったのですよ。しかも、悪いことをしてじゃなく、あなたに祈ろうとしてベッドからすべったんですから。それに私までこんなでやけどの手になったら、家事だって無理です。どうして感謝できますか」と神様に怒りをぶつけました。


それでもどんなに文句を言っても、神様は「感謝しなさい」と心の中に語ってきて、ついに根負けして「わかりました、感謝します」不承不承(ふしょうぶしょう)、感謝し始め、「母が骨折したことを感謝します。手にやけどしたことを感謝します。ああそうだ、無事に日本に帰れたことをもちろん感謝します…」とつぶやいている内に、いつしか平安になり、深い眠りに落ちていったそうです。


その後、本当に感謝すべきことが起こり、普段、何もしない父親が奮起(ふんき)して、精力的に動き回り、母親も腰の骨折以外の体の血圧、肝臓などの薬の治療も同時にしたことで、肝臓や糖の値が正常値に戻り、腰の方も順調で、入院時より健康になったのでした。


さらにアメリカでの病院の医療費や飛行機のチケット代も家族全員のカードが使うことができ、1年後に全額戻ってきたのでした。


そこで森祐理さんは「感謝しなさい」との促しは本当のことだとつくづく思い、「神様は、無理やり感謝させるお方だけではなくて、思いを超えた恵みを実際に用意して、感謝しなさいとおっしゃるお方なのだ」と語っています。


私たちもコロナ禍の中で、また様々な出来事に感謝できない時こそ、「ありがとう」と唱え、「すべての事に感謝しなさい」というみ言葉を実践すると、のちに本当に感謝すべきことが起こることを覚え、難しいですが、実践していきたいものです。

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